請負契約の見積りのみを行う出張所は建設業法の『営業所』に該当する?

知事許可と大臣許可

建設業許可には大臣許可と知事許可の2種類があり、ある一つの都道府県にのみ『営業所』を設置している業者は知事許可を、複数の県に渡って設置している業者は大臣許可を、それぞれ取得しなければなりません。

では、本店がある都道府県外の事務所で請負契約の見積りのみを行う場合、知事許可で問題ないのでしょうか?

営業所の範囲

『営業所』とはどのような業務を行う場所が該当するのか、その範囲を確認します。

国土交通省『建設業許可事務ガイドライン』に以下の記載があります。

2.営業所の範囲について
「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。
したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等、建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当する。

また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等、請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。

国土交通省『建設業許可事務ガイドライン』より

上記に『「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契
約締結等、請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい』という記載のある通り、単に契約書に押印をする事務所のみが『営業所』に該当するわけではなく、請負契約の見積りや、入札を行う事務所も『営業所』に該当します(○○支社、○○支店、○○出張所、○○事務所、などの名称は関係ありません)。

よって、本店がある都道府県外にある事務所で見積りのみをを行う場合であっても、知事許可ではなく大臣許可が必要になります。
逆に言えば、知事許可の場合、本店がある都道府県外の事務所では『請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等、請負契約の締結に係る実体的な行為を行うことは出来ない』ということなので注意が必要です。