部長は『経営業務の管理責任者』として認められる?

経営業務の管理責任者として認められる地位

『経営業務の管理責任者』とは、個人事業主や会社の常勤役員が個人として、あるいは組織として、建設業に関する一定の経営経験を有しているか、という点を確認する建設業許可取得のための要件の一つです。

では上記の『常勤役員』とはどこまでの範囲を指すのでしょうか?
会社法329条に以下のような定めがあります。

第三百二十九条 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。

e-Gov法令検索より

このように、役員とは『取締役、会計参与、監査役』のことを指します。

部長は『経営業務の管理責任者』としては認められない?

部長は会社法上の役員ではないので、基本的には経営業務の管理責任者としては認められません。

ただ、絶対に認められないかというとそんなことはなく、条件によっては認められる可能性もあります。

国土交通省の『建設業許可事務ガイドライン』に以下のような定めがあります。

(1)適正な経営体制について(規則第7条第1号)
① 「常勤役員等」とは、法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人をいう。
「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。
なお、「業務を執行する社員」とは、持分会社の業務を執行する社員をいい、「取締役」とは、株式会社の取締役をいい、「執行役」とは、指名委員会等設置会社の執行役をいう。
また、「これらに準ずる者」とは、法人格のある各種組合等の理事等をいう。
執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等については、原則として「役員」には含まれないが、業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員等(建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(例えば、建築部門・土木部門の両方を有する会社において建築部門のみを分掌する場合など一部の営業分野のみを分掌する場合や、資金・資材調達のみを分掌する場合等)の業務執行に係る権限移譲を受けた執行役員等を除く。以下同じ。)については、「これらに準ずる者」として含まれるものとする。

国土交通省『建設業許可事務ガイドライン』より

上記に『これらに準ずる者』という表記があり、部長はこれに該当すると認められる余地があります。

『これらに準ずる者』として認められるためには?

部長を経営業務の管理責任者として認めてもらうためには、『これらに準ずる者』に該当するという根拠を許可行政庁に対して証明しなければなりません。

もしこれが部長ではなく取締役であれば、会社の登記簿謄本があれば比較的簡単に証明することが可能です。
しかし『これらに準ずる者』は、登記される役員ではないため、地位と権限を証明することは容易ではなく、複数の書類を用意する必要があります。

しかし、会社によっても体制が異なるでしょうし、規定などの内容も様々です。
また、許可行政庁によっても『これらに準ずる者』の細部の取り扱いが異なる可能性もあるため、『この書類を用意すればOK』というように画一的に証明書類を絞ることは出来ません。

『これらに準ずる者』を用いて申請を行う場合には、どのような書類を用意すれば地位と権限を証明することが出来るのか、事前に窓口に確認を取った方がいいでしょう。