元請業者の下請業者に対する指導義務
元請業者の責務
特定建設業者が発注者から直接工事を請け負い元請業者となった場合、3つの責務を負います。
(下請負人に対する特定建設業者の指導等)
第二十四条の七 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。
2 前項の特定建設業者は、その請け負つた建設工事の下請負人である建設業を営む者が同項に規定する規定に違反していると認めたときは、当該建設業を営む者に対し、当該違反している事実を指摘して、その是正を求めるように努めるものとする。
3 第一項の特定建設業者が前項の規定により是正を求めた場合において、当該建設業を営む者が当該違反している事実を是正しないときは、同項の特定建設業者は、当該建設業を営む者が建設業者であるときはその許可をした国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む者であるときはその建設工事の現場を管轄する都道府県知事に、速やかに、その旨を通報しなければならない。
e-Gov法令検索より
まとめると以下の様になります。
①現場での法令順守指導の実施
②下請業者の法令違反についての是正指導
③下請業者が是正しない場合の許可行政庁への通報
これら指導、通報義務は1次下請に対してのみならず、2次、3次といった建設工事に関わる全ての下請業者に対して行う必要があります。
建設業法以外で遵守すべき法令
建設工事の現場で遵守すべき法令は建設業法だけではありません。
建築基準法や、労働基準法など、工事の種類や現場環境に応じて遵守すべき法令は多岐に渡ります。
建設業法施行令第7条の3に以下のように記されています。
(法第二十四条の七第一項の法令の規定)
第七条の三 法第二十四条の七第一項の政令で定める建設工事の施工又は建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定は、次に掲げるものとする。
一 建築基準法第九条第一項及び第十項(これらの規定を同法第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)並びに第九十条
二 宅地造成及び特定盛土等規制法第十三条(同法第十六条第三項において準用する場合を含む。)、第二十条第二項から第四項まで、第三十一条(同法第三十五条第三項において準用する場合を含む。)及び第三十九条第二項から第四項まで
三 労働基準法第五条(労働者派遣法第四十四条第一項の規定により適用される場合を含む。)、第六条、第二十四条、第五十六条、第六十三条及び第六十四条の二(労働者派遣法第四十四条第二項(建設労働法第四十四条の規定により適用される場合を含む。)の規定によりこれらの規定が適用される場合を含む。)、第九十六条の二第二項並びに第九十六条の三第一項
四 職業安定法第四十四条、第六十三条第一号及び第六十五条第九号
五 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第九十八条第一項(労働者派遣法第四十五条第十五項(建設労働法第四十四条の規定により適用される場合を含む。)の規定により適用される場合を含む。)
六 労働者派遣法第四条第一項
e-Gov法令検索より
元請業者は、これら関係諸法令の規定について下請業者に指導する義務があります。
また、もし下請業者が法令違反をしていた場合には是正指導をし、是正しない場合には許可行政庁に通報する義務があります。