『著しく短い工期』とは?
『著しく短い工期』の禁止
令和2年10月に施行された改正建設業法により、工期を適正にすることで働き方改革を促進するための取り組みが進められることとなりました。
その取り組みとは、具体的には以下の4つです。
①著しく短い工期の禁止
②工期等に影響をおよぼず事象に関する情報の提供
③工程の細目を明らかにする
④契約書に工事を施工しない日・時間帯を明記する
(著しく短い工期の禁止)
第十九条の五 注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。
e-Gov法令検索より
この『著しく短い工期』とは、『建設工事を施工するために通常必要と認められる期間と比べて著しく短い工期』という意味です。
適正な工期の基準
国土交通省の中央建設業審議会が、適正な工期に関しての基準を公表してします。
・国土交通省『工期に関する基準』
この基準は、適正な工期の設定や見積りにあたり、建設業者や発注者等が考慮すべき事項を示したものです。
またこの基準は、公共工事や民間工事といった区別なくすべての建設工事が対象となっています。
違反した場合
『著しく短い工期』を設定したとみなされた場合、まず許可行政庁は発注者に対して勧告を行うことが出来ます。
さらに、その勧告に従わない場合にはその旨を公表することが出来ますので、当該発注者は対外的に大きく信頼を失うこととなります。
そしてその発注者が建設業者であった場合には、許可行政庁は勧告や指示処分を行うことが出来ます。
なお、この規定の対象となるのは請負金額500万円以上の工事のみなので、いわゆる『軽微な建設工事』は対象外となっています。
(発注者に対する勧告等)
第十九条の六 建設業者と請負契約を締結した発注者(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二条第一項に規定する事業者に該当するものを除く。)が第十九条の三又は第十九条の四の規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができる。
2 建設業者と請負契約(請負代金の額が政令で定める金額以上であるものに限る。)を締結した発注者が前条の規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができる。
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の勧告を受けた発注者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
4 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項又は第二項の勧告を行うため必要があると認めるときは、当該発注者に対して、報告又は資料の提出を求めることができる。
e-Gov法令検索より
ただし、『著しく短い工期』にあたるか否かの判断を一律に行うことは困難であるため、工事の内容等さまざまな観点から許可行政庁が個別に行うこととなります。