『専任』が求められる主任技術者が例外的に複数現場の兼務を認められるケース

『専任』が求められる場合は原則は不可

主任技術者は、公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、工事一件の請負金額が4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上のものについては、工事の安全かつ適正な施工を確保するため、『専任』である必要があります。
この『専任』とは、他の現場との兼務を禁止し、常時継続的に当該工事現場にのみ従事することを意味しており、『専任が求められる主任技術者』は、他の現場との兼務は原則認められません。

では、『専任』を必要としない主任技術者はどうかというと、特に兼務を禁止する旨の規定は存在しません。

『専任』でも例外的に兼務が認められるケース

上記の通り、専任が求められる工事現場に設置された主任技術者は、原則他の現場との兼務は認められていません。

しかし、例外的に兼務が認められるケースがあります。

『密接な関係のある』2以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所または『近接した場所』において施工する場合

『密接な関係のある』2以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所または『近接した場所』において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を兼務することが出来ます。
この場合、主任技術者が管理することが出来る工事の数は原則2件程度とされています。

『密接な関係のある』工事とは、工事の対象となる工作物に一体性もしくは連続性が認められる工事または施工にあたり相互に調整を要する工事を指します。

『近接した場所』とは、2つの工事現場相互の間隔が10㎞程度とされています。

国土交通省『建設工事の適正な施工を確保するための建設業法 (令和5.1版)』より

同一あるいは別々の発注者が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に関わる工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められるものである場合

同一あるいは別々の発注者が、発注する工事で『同一あるいは別々の発注者が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に関わる工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められるものである場合』という条件を満たした場合には、これらの複数工事を一つの工事とみなし同一の主任技術者が兼務することが可能となります。

ただしこの規定は、当初の請負契約以外の請負契約が『随意契約(価格競争の方法によらないで、発注者が任意に特定の者を選定して、その者と契約する方式)』により締結される場合に限られています。