経営事項審査の審査項目
総合評定値Pの算出方法
経営事項審査は2つの評価により構成されていて、この2つの評価の結果に関わる数値を用いて総合評定値Pが算出されます。
⑴経営状況分析
⑵経営規模等評価
⑴+⑵=P
経営事項審査は、国土交通大臣が定めた以下の4つの事項により行われます。
①経営規模
②技術力
③その他の審査項目(社会性等)
④経営状況
これらの項目のうち、④の経営状況に関することを『経営状況分析』といい、それ以外の①経営規模②技術力③その他の審査項目(社会性等)に関することを『経営規模等評価』といいます。
経営状況分析
経営状況分析に関しての審査項目を詳しく見ていきます。
経営状況分析には4つの審査項目があり、その4つの項目にさらにそれぞれ2つずつ、計8つの分析指数があります。
経営状況分析とは、建設業者の経営状態を会計的な観点から分析するものなので、決算書に関する分析とも言えます。
審査項目 | 分析指標 | 記号 | |
負債抵抗力 | 純支払利息比率 | X1 | Y |
負債回転期間 | X2 | ||
収益性・効率性 | 総資本売上総利益率 | X3 | |
売上高経常利益率 | X4 | ||
財務健全性 | 自己資本対固定資産比率 | X5 | |
自己資本比率 | X6 | ||
絶対的力量 | 比率営業キャッシュフロー | X7 | |
利益剰余金 | X8 |
経営事項審査の総合評定値Pを算出して建設業者に通知するのは、許可行政庁である国土交通大臣または都道府県知事ですが、経営状況分析の審査機関は国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関が担っています。
国土交通省『登録経営状況分析機関一覧』より
これらの登録経営状況分析機関のうち、建設業者がいずれかの分析機関を選んで経営状況分析の申請を行います。
いずれの機関を選んでも結果に差が生じることはありませんが、申請方法や手数料等に違いがある可能性があるので、事前に各機関に確認を取った方が良いでしょう。
なお、建設業者が許可行政庁に対して、総合評定値Pを請求する場合は、事前に経営状況分析結果通知書の提出が必要となるので、あらかじめ経営状況分析を受け結果通知書を取得しておかなければなりません。
(経営状況分析)
第二十七条の二十四 前条第二項第一号に掲げる事項の分析(以下「経営状況分析」という。)については、第二十七条の三十一及び第二十七条の三十二において準用する第二十六条の六の規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録経営状況分析機関」という。)が行うものとする。
2 経営状況分析の申請は、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を登録経営状況分析機関に提出してしなければならない。
3 前項の申請書には、経営状況分析に必要な事実を証する書類として国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
4 登録経営状況分析機関は、経営状況分析のため必要があると認めるときは、経営状況分析の申請をした建設業者に報告又は資料の提出を求めることができる。(経営状況分析の結果の通知)
第二十七条の二十五 登録経営状況分析機関は、経営状況分析を行つたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該経営状況分析の申請をした建設業者に対して、当該経営状況分析の結果に係る数値を通知しなければならない。e-Gov法令検索『建設業法』より
経営規模等評価について
次に経営規模等評価の審査項目を確認します。
経営規模(X1、X2)、技術力(Z)、その他の審査項目(社会性等)(W)に関する項目があります。
項目区分 | 審査項目 | 記号 |
経営規模 | ①工事種類別年間平均完成工事高 | X1 |
①自己資本額 | X2 | |
②利払前税引前償却前利益(平均利益額) | ||
技術力 | ①工事種類別技術職員数 | Z |
②工事種類別元請完成工事高 | ||
その他の審査項目(社会性等) | ①労働福祉の状況 | W |
②建設業の営業継続の状況 | ||
③防災活動への貢献の状況 | ||
④法令遵守の状況 | ||
⑤建設業の経理の状況 | ||
⑥研究開発の状況 | ||
⑦建設機械の保有状況 | ||
⑧ISOの取得状況 | ||
⑨若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況 | ||
⑩知識及び技術または技能の向上に関する建設工事に従事する者の取組の状況 |
経営状況分析の審査機関は、国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関ですが、経営規模等評価の審査は許可行政庁である国土交通大臣または都道府県知事が行います。
国土交通大臣または都道府県知事は、経営規模等評価を行い経営事項審査の総合評定値Pを算出して建設業者に通知します。
(経営規模等評価)
第二十七条の二十六 第二十七条の二十三第二項第二号に掲げる事項の評価(以下「経営規模等評価」という。)については、国土交通大臣又は都道府県知事が行うものとする。
2 経営規模等評価の申請は、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を建設業の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事に提出してしなければならない。
3 前項の申請書には、経営規模等評価に必要な事実を証する書類として国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
4 国土交通大臣又は都道府県知事は、経営規模等評価のため必要があると認めるときは、経営規模等評価の申請をした建設業者に報告又は資料の提出を求めることができる。(経営規模等評価の結果の通知)
第二十七条の二十七 国土交通大臣又は都道府県知事は、経営規模等評価を行つたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該経営規模等評価の申請をした建設業者に対して、当該経営規模等評価の結果に係る数値を通知しなければならない。e-Gov法令検索『建設業法』より
国土交通省『経営事項審査の審査基準の改正について』より