経営事項審査における『技術職員』とは?
『技術職員』の定義
経営事項審査で評価の対象となる『技術職員』とは、一定の国家資格や実務経験等がある者であって『審査基準日以前に6カ月を超える恒常的な雇用関係があり、かつ、雇用関係を特に限定することなく常時雇用されている者』のことを指します。
2 許可を受けた建設業の種類別の技術職員の数及び許可を受けた建設業に係る建設工事の種類別年間平均元請完成工事高について(告示第一の三関係)
(1) 許可を受けた建設業の種類別の技術職員の数について
イ 許可を受けた建設業に従事する技術職員は、建設業法第7条第2号イ、ロ若しくはハ又は同法第15条第2号イ若しくはハに該当する者、規則第18条の3第2項第2号に規定する登録基幹技能者講習を修了した者(以下「基幹技能者」という。)、建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第28条第1号又は第2号に掲げる者、建設技能者の能力評価制度に関する告示(平成31年国土交通省告示第460号)第3条第2項の規定により同項の認定を受けた能力評価基準(以下「認定能力評価基準」という。)により技能や経験の評価が最上位であるとされた建設技能者(以下「レベル4技能者」という。)又はレベル4技能者に次ぐものとされた建設技能者(以下「レベル3技能者」という。)であって、審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があり、かつ、雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者(法人である場合においては常勤の役員を、個人である場合においてはこの事業主を含む。)とする。国土交通省『経営事項審査の事務取扱いについて』より
つまり、経営事項審査の技術職員として評価されるためには、以下の2つの条件を満たさなくてなりません。
①一定の国家資格や実務経験を保有する者であること
②審査基準日以前に6カ月を超える恒常的な雇用関係があり、かつ、雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者であること
『6カ月を超える恒常的な雇用関係』『雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている』
『6カ月を超える恒常的な雇用関係』とは、審査基準日(決算日)の6カ月より前から技術者と建設業者との間に雇用関係が存在していることをいいます。
例えば、審査基準日が令和6年7月31日である建設業者の場合には、令和6年1月31日以前に入社した技術者が対象となります。
次に『雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている』とは、技術者と建設業者との間に、期間の定めのない雇用契約が存在していることをいいます。
そのため、アルバイトや有期雇用の契約社員は評価対象とはなりません。
ただし、雇用期間が限定されている者であっても、審査基準日において65歳以下であり、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に規定されている継続雇用制度の適用を受けている者に関しては、雇用期間を特に限定することな常時雇用されている者とみなされます。
(高年齢者雇用確保措置)
第九条 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止e-Gov法令検索『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律』より
主任技術者・監理技術者、専任技術者、技術職員、それぞれの要件の違い
主任技術者・監理技術者 | 専任技術者 | 技術職員 | |
根拠 | 監理技術者制度運用マニュアル | 建設業許可事務ガイドライン | 経営事項審査の事務取扱いについて |
要件 | 『建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要』 『直接的な雇用関係』とは、監理技術者等とその所属建設業者との間に第三者の介入する余地のない雇用に関する一定の権利義務関係(賃金、労働時間、雇用、権利構成)が存在することをいう。在籍出向者、派遣社員については直接的な雇用関係にあるとは言えない。 『恒常的な雇用関係』とは、一定の期間にわたり当該建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事することが担保されていることをいう。公共工事において、発注者から直接請け負う建設業者の専任の主任技術者、専任の監理技術者、特例監理技術者または監理技術者補佐については、所属建設業者から入札の申込のあった日以前に3ヶ月以上の雇用関係にあることが必要。 | 『「専任」の者とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者をいう』 会社の社員の場合には、その者の勤務状況、給与の支払状況、その者に対する人事権の状況等により「専任」か否かの判断を行い、これらの判断基準により専任性が認められる場合には、いわゆる出向社員であっても専任の技術者として取り扱う。 | 『審査基準日以前に6カ月を超える恒常的な雇用関係があり、かつ、雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者(法人である場合においては常勤の役員を、個人である場合においてはこの事業主を含む)とする』 雇用期間が限定されている者のうち、審査基準日において高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に規定する継続雇用制度の適用を受けている者(65歳以下の者に限る)については、雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者とみなす。 |
在籍出向者 | 認められない(企業集団確認を受けた場合は親会社及びその連結子会社間で認められる) | 認められる | 認められる |
派遣社員 | 認められない | 認められない | 認められない |
有期雇用労働者 | 認められない(雇用期間が限定されている継続雇用制度の適用を受けている者は、常時雇用されている【恒常的な雇用関係にある】ものとみなされる) | 認められる | 認められない(65歳以下で継続雇用制度の適用を受けている者は認められる) |