在留資格『特定技能』
建設業における『特定技能』とは?
平成30年12月14日に出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律が公布され、平成31年4月1日から新しい在留資格として『特定技能』が始まりました。
この制度は、生産性の向上や国内人材の確保のための取り組みを行ってもなお人材確保が困難な状況にある産業において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく、というものです。
そして、技能者の高齢化が進む建設業界も特定技能制度の対象産業となっており、以下のような区分に応じて特定技能外国人の受け入れが可能となっています。
1、土木区分
型枠施工 | コンクリート圧送 | トンネル推進工 | 建設機械施工 | 土工 | 鉄筋施工 | とび | 海洋土木工 |
2、建築区分
型枠施工 | 左官 | コンクリート圧送 | 屋根ふき | 土工 | 鉄筋施工 | 鉄筋継手 | 内装仕上げ | 表装 | とび | 建築大工 | 建築板金 | 吹付ウレタン断熱 |
3、ライフライン・設備区分
電気通信 | 配管 | 建築板金 | 保温保冷 |
国土交通省『建設分野における外国人材の受入れ』より
国土交通省『建設分野における外国人材の受入れ』より
『特定技能』取得方法
外国人が日本に在留するためには、在留目的等を出入国在留管理庁に申請して在留資格を取得しなければなりません。
そして『特定技能』の在留資格には以下の2種類があります。
・特定技能1号
相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
・特定技能2号
熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
特定技能1号と特定技能2号は、それぞれ求められる技能水準や日本語能力水準が異なります。
また、特定技能2号に関しては在留期間の更新上限がなく、家族帯同も可能となっています。
取得に関しては、まず特定技能1号からスタートすることになりますが、建設分野においては、外国人が技能実習等を経験しているか否かで取得の道筋が変わります。
特定技能1号取得方法
技能実習等未経験者
技能実習2号を良好に修了していない外国人が1号特定技能外国人となるためには、技能検定3級の水準に相当する技能評価試験と日本語試験の両方の試験に合格しなくてはなりません。
技能評価試験に関しては、『技能検定3級』または一般社団法人建設技能人材機構(JAC)が実施する技能検定3級の水準に相当する『建設分野特定技能1号評価試験』のいずれかに合格することが必要で、日本語試験に関しては、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上のいずれかに合格することが必要です。
技能実習等経験者
技能実習2号を良好に修了した外国人及び技能実習3号を修了した外国人に関しては、技能評価試験及び日本語試験が免除されます。
そのため、試験無しで1号特定技能外国人になることが可能です。
また、在留資格『特定活動』で就労中の外国人建設就労者に関しても、技能実習2号を良好に修了していることを前提としているので、こちらも試験無しで在留資格を『特定活動』から『特定技能1号』に変更することが可能です。
特定技能2号取得方法
特定技能2号の取得に関しては、班長として一定の実務経験を積み、JACが実施する建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級に合格し、在留資格の審査で問題がなければ付与されることになります。
国土交通省『建設分野における外国人材の受入れ』より
『特定技能所属機関』
特定技能外国人を受け入れる企業のことを『特定技能所属機関(受入機関)』といいます。
受入機関が特定技能外国人を受け入れるためには一定の基準をクリアする必要がありますが、建設分野においては、特定技能に関する業種判断の基準に加え、国土交通省が定める建設分野独自の基準が設定されています。
この基準において、建設分野の特定技能の受入機関は、受入計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けなければなりません。
特例建設技能受入計画の認定基準は以下の通りです。
①受入企業は建設業法第3条の許可を受けていること
②受入企業及び1号特定技能外国人の建設キャリアアップシステムへの登録
③特定技能外国人受入事業実施法人(JAC)への加入及び当該法人が策定する行動規範の遵守
④特定技能外国人の報酬額が同等の技能を有する日本人と同等額以上、安定的な賃金支払い、技能習熟に応じた昇給
⑤賃金等の契約上の重要事項の書面での事前説明(外国人が十分に理解できる言語)
⑥1号特定技能外国人に対し、受入れ後、国土交通大臣が指定する講習または研修を受講させること
⑦国又は適正就労監理機関による受入計画の適正な履行に係る巡回指導の受入れ 等
国土交通省『建設分野における外国人材の受入れ』より
建設特定技能受入計画の認定申請を含めて、1号特定技能外国人の受入機関が在留資格取得までにすべきことは以下の通りです。
1、JACに加入
2、建設キャリアアップシステムへの登録
3、特定技能雇用契約に関わる重要事項説明
4、特定技能雇用契約の締結
5、建設特定技能受入計画の認定申請
6、1号特定技能外国人支援計画の作成
7、在留資格変更許可申請または在留資格認定証明書交付申請
国土交通省『建設分野における外国人材の受入れ』より