業務の平準化

時期による工事量の偏り

建設工事は春から夏の閑散期と秋から冬の繁忙期に分かれ、4月~6月は工事量が少なく、年度末の1月~3月は工事量が多くなります。
これは会計年度末である3月31日に竣工する工事が多いこと、また5月~9月の雨が多い季節を避けて工事が計画されること、などが主な要因です。
閑散期には仕事が不足し、工事従事者の収入が減る可能性があります。
一方、繁忙期は仕事量が過大になり、長時間労働や休暇が取りにくくなるといった問題があります。
この工事量の偏りを解消し、年間を通して工事量が安定することで、発注者・受注者それぞれに次のような効果が期待されます。

まず、発注者側の効果としては、まず入札不調・不落を防止することが出来る、という点が挙げられます。
収入が安定し、担い手確保対策にもつながります。
そして繁忙期の業務量が減ることで、発注職員などの事務作業の集中も回避出来るようになります。

次に、受注者側の効果としては、稼働日数が増えることで経営の健全化につながります。
また、残業が減少し、休日が増加することにより労働者の処遇が改善されます。
さらに、建設機械をリースするよりも保有した方が有利になり、結果として災害時の対応が早くなります。

受注者による工事の平準化

受注者が行う工事の平準化対策は、大きく3つあります。

まず、閑散期に受注することです。
春から夏の閑散期において工事を受注するように、営業を推進することが重要です。
そのためには、顧客の幅を広げるということ、一件当たりの顧客からの受注を増やすということ、両方が必要となります。

次に、繁忙期から閑散期に施工時期をずらすことです。
発注者と良好な関係を構築することにより、工期をずらすことを依頼するという方法があります。
こうすることで、工期の前倒し、先送りが可能となります。

最後に、供給を需要に合わせるということです。
需要の多い時期に出勤日数を増やすことで、供給を需要に合わせることが出来ます。
例えば、勤務時間を分散して年間休日を工事量に合わせる、といった方法があります。

国土交通省『施工時期の平準化について』より