『官庁工事(公共工事)』と『民間工事』
官庁工事は税金が財源となる
官庁土木工事とは、国民の税金を財源とした工事のことを指し、国民が安全にかつ安心して住むことが出来る国土を作り上げていくために、必要な建造物を造っています。
このような国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共施設のことを『インフラストラクチャー(インフラ)』といい、道路、河川、港湾、空港、公園、緑地、工業用地、上下水道などがこれにあたります。
これらは公共の福祉のための施設であることから、民間事業としては成立しにくく、民間が供給することが難しいという現状があります。
そのため、政府や地方公共団体が主体となって建設しています。
また、官庁工事は税金が財源であるために、工期金額の適正度や品質に関するチェックは、他の工事に比べて厳格に行われます。
そのために、検査の回数や記録の量が一般的には多くなる傾向にあります。
なお、官庁土木工事で造るものは『社会資本』と呼ばれますが、これは経済学における『社会資本』のことを指しています。
一方で『社会資本』という言葉には、社会学におけるものもあり、この場合は『社会的ネットワークにおける人間関係』のことを指します。
社会の信頼関係やネットワークなどの人間関係も『社会資本』と呼ばれているのです。
民間工事は企業や個人の資金が財源となる
民間土木工事は、企業や個人の資金を財源としている工事のことを指し、住宅地や工場建設のための造成工事や基礎工事がそれにあたります。
また、電力会社が水力、火力、原子力発電所を造る工事、そこで発電した電気を各地に分配する送電線を造る工事も民間土木工事です。
さらに、JRや私鉄などの鉄道会社がレールを造る軌道工事、ガス会社がガス管を配備する工事、高速道路会社が高速道路を建設したり維持管理する工事も民間工事にあたります。
民間工事の財源は税金ではなくほとんどが企業の内部留保であるため、官庁工事を比べてチェックはさほど厳しくありません。
しかし、発電所、鉄道、ガス、高速道路などは非常に公共性の高い建設物であり多くの国民に関わるものなので、当然のことながら厳しい管理は必要となります。