ダムの建設

ダムの目的

ダムは、治水、利水、発電の3つを目的として造られます。

治水とは、大雨の時に下流域が洪水にならないようにすること、利水とは、降水を生活用水や農業用水に利用すること、発電とは、水力発電として利用すること、をそれぞれ意味しています。

ダムの種類

ダムは大別すると3種類あります。

①重力式コンクリートダム
ダムそのものの重さによって水をせきとめて貯める形式です。

②アーチ式コンクリートダム
アーチアクションを利用してアーチ(曲線)の凸部に水をためる形式です。
重力式同様にコンクリートを用いますが、使用するコンクリートの量が少なくて済みます。
一方、水圧がすべて岩盤に伝わるため、強固な岩盤の地点にしか造ることが出来ません。

③ロックフィルダム
ダムの材料にコンクリートではなくロック(岩石、砂利、砂)を使用するものです。
コンクリートダムよりも体積は大きく広くなりますが、その分地盤にかかる力が小さくなるため、断層など地盤が弱い場所であっても建設することが出来ます。

ダムの建設工程

1、予備調査
地質調査、水質調査によりダム予定地点とダム形式を検討する。

2、現地調査
ダム建設地点が妥当であるかどうかを決めるために、地質・水質・生態系を調査し、さらにダム形式を決定する。

3、説明会および土地の買収
ダム建設により影響を受ける住民に対して説明を行い同意を得る。
関係者からの同意を得られたら当該土地を買収する。

4、道路整備
古い道路だとダムの底に沈んでしまうことがあるので、ダムよりも上部に道を付け替える必要がある。

5、本体工事
転流工事、ダム建設用設備工事、基礎工事、堤体工事、放流設備・ゲート設備工事を順次施工する。

6、試験湛水
水を貯めてダムの形状に変化がないか、周囲の状況に変化がないかを確認する。
問題があれば、岩盤をセメントにより固める等補修工事を行う。

ダムの本体工事

上記5の本体工事を詳しく見ていきます。

まずは転流工事を行います。
これは、川に水が流れているとダムを造ることが困難であるため、水路側の水を別のところに流す工事のことをいいます。
次に、生コンクリートや骨材を作る設備など、ダム建設用のプラントを製造します。
続いて基礎工事は、まず土砂を剝がし、岩盤をむき出しにします。
さらに岩盤の弱い部分にグラウトと称したセメントミルクを注入し、岩盤を固めます。
そしてここから堤体工事に移っていきます。
重力式コンクリートダム、アーチ式コンクリートダムの場合にはコンクリート打設、ロックフィルの場合には、砂利・岩盤の盛り立てを行い、順次、ダムの形状を造っていきます。
そして最後に放流設備やゲートなどの設備を造ります。