下請代金の支払い
支払日の定め
元請業者から下請業者への下請代金の支払いに関して、建設業法に定めがあります。
元請負人は、工事完成後に注文者から支払いを受けた時だけでなく、請負代金の出来形部分に対する支払いを受けた時も、下請業者に対して相当分の下請代金を『1カ月以内』で、かつ『出来る限り短い期間内』に支払わなければならないとされています。
この規定は、適正に代金が支払われることにより工事の適正な施工を確保すること、下請負人の利益を保護すること、などの目的のために定められています。
なお前払金に関しても同様で、資材購入等工事準備用として費用を確保するために、元請負人が注文者から前払いを受けた場合には、下請負人に対して工事着手に必要な費用を前払金として支払うよう努めなければなりません。
特定建設業者の場合
特定建設業者に対しては、さらに厳しく定めがあります。
特定建設業者である元請負人は、注文者から支払いを受けていなくても、下請負人からの引き渡し申出日から50日以内に下請代金を支払わなければなりません(ただし、当該下請負人が『特定建設業者』または『資本金額4,000万円以上の法人』である場合は対象外)。
これを守らなかった場合、特に罰則があるわけではありませんが、特定建設業者は支払遅延として利息を支払わなければなりません。
なお、特定建設業者は下請代金の支払いに関して『元請負人としての義務』と『特定建設業者としての義務』の両方を負うことになるため、『注文者から出来形払いや完成払いを受けた日から1ヶ月以内』か『下請負人の引渡し申出日から50日以内』のいずれか早い方で支払わなくてはなりません。
下請代金の支払手段
下請代金の支払手段に関して、建設業法に以下のような定めがあります。
(下請代金の支払)
第二十四条の三 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。
2 前項の場合において、元請負人は、同項に規定する下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。
e-Gov法令検索より
このように下請代金のうち労務費にあたる部分については、現金で支払うよう定められています。
ただし、労務費以外に関しても、基本的に下請代金は出来る限り現金で支払うのが一般的です。
(※上記『現金』には、銀行振込や小切手の振出などといった『すぐに現金化できるもの』も含まれます。)