主任技術者・監理技術者の途中交代
交代が認められるケース
工事の途中で主任技術者・監理技術者の交代があると、建設工事の適正な施工の確保が出来なくなる恐れがあるため、原則として交代は認められません。
しかし、途中交代せざるを得ない事態が発生することも当然考えられます。
そこで、国土交通省の『監理技術者制度運用マニュアル』に、例外的に主任技術者・監理技術者の途中交代が認められるケースが挙げられています。
- 死亡した場合
- 傷病により職務を遂行出来ない場合
- 出産により職務を遂行出来ない場合
- 育児により職務を遂行出来ない場合
- 介護により職務を遂行出来ない場合
- 退職した場合
- 受注者の責によらない理由により工事中止または工事内容の大幅な変更が発生し、工期が延長された場合
- 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電盤等の電機品等の工場製作を含む工事であって、工場から現場へ工事の現場が移行する場合
- 一つの契約工期が多年に及ぶ場合
交代する際の注意点
主任技術者・監理技術者を交代する場合、発注者と元請業者との協議により、工事の継続性、品質確保等に支障がないと認められることが重要です。
そのため、以下のような措置をとる必要があります。
- 交代の時期は工程上一定の区切りと認められる時点とする
- 交代前後における主任技術者・監理技術者の技術力が同等以上となるようにする
- 工事の規模、難易度等に応じ一定期間重複して新旧主任技術者・監理技術者を工事現場に設置するなどの措置をとる
発注者との協議においては、工事現場に設置する主任技術者・監理技術者及びその他の技術者の職務分担、本支店等の支援体制等に関する情報を、建設業者が発注者に対して説明することが重要です。
(4)監理技術者等の途中交代
① 建設工事の適正な施工の確保を阻害する恐れがあることから、施工管理をつかさどっている監理技術者等の工期途中での交代は、当該工事における入札・契約手続きの公平性の確保を踏まえた上で、慎重かつ必要最小限とする必要があり、監理技術者等の途中交代を行うことができる条件について注文者と合意がなされた場合に認められる。一般的な交代の条件としては、監理技術者等の死亡、傷病、被災、出産、育児、介護又は退職等の場合や、受注者の責によらない契約事項の変更に伴う場合、工場から現地へ工事の現場が移行する場合や工事工程上技術者の交代が合理的な場合などが考えられるが、建設現場における働き方改革等の観点も踏まえ、その具体的内容について書面その他の方法により受発注者間で合意する必要がある。ただし、公共工事においては、入札の公平性の観点から、原則として元請の監理技術者等の交代が認められる基本的な条件は入札前に明示された範囲とし、同等以上の技術力を有する技術者との交代であることを条件とすべきである。
② なお、監理技術者等の交代の時期は工程上一定の区切りと認められる時点とするほか、交代前後における監理技術者等の技術力が同等以上に確保されるとともに、工事の規模、難易度等に応じ一定期間重複して工事現場に設置するなどの措置をとることにより、工事の継続性、品質確保等に支障がないと認められることが必要である。
③ また、監理技術者等の交代に当たっては、発注者からの求めに応じて、元請が工事現場に設置する監理技術者等及びその他の技術者の職務分担、本支店等の支援体制等に関する情報を発注者に説明することが重要である。国土交通省『監理技術者制度運用マニュアル』より
主任技術者から監理技術者への交代
当初は主任技術者を設置した工事であっても、工事の途中で下請契約の請負代金が4,500万円(建築一式工事の場合7,000万円)以上となった場合、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者は、主任技術者から監理技術者へ交代しなくてはなりません。
このような事態があらかじめ予想される場合には、建設業者は当初から監理技術者の資格を有する技術者を設置しておく必要があります。