経営事項審査
経営事項審査とは?
『経営事項審査』とは、国や地方公共団体等が発注する公共工事を直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査のことです。
注意点として、あくまでも審査を受けなければならないのは『直接請け負おうとする建設業者』、つまり元請業者のみですので、下請負人として公共工事に参加する業者は経営事項審査を受ける必要はありません。
公共工事の発注者は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。
この資格審査にあたっては、まず欠格要件に該当しないかを審査した後に、『客観的事項』と『発注者別評価』の審査結果を点数化し、格付けが行われます。
この『客観的事項』にあたるものが『経営事項審査』です。
経営事項審査は、建設業法により建設業許可に関わる許可行政庁が審査を実施することと定められており、国土交通大臣が定めた下記4つの項目により審査されます。
そして最終的に許可業種ごとに点数(総合評定値『P』)が付与されるのですが、その点数は全国一律の基準により算出されます。
国土交通省『経営事項審査の審査基準の改正について』より
なお、総合評定値Pには有効期限が定められており、その長さは審査基準日(決算日)から1年7カ月となっています。
(経営事項審査)
第二十七条の二十三公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。
2前項の審査(以下「経営事項審査」という。)は、次に掲げる事項について、数値による評価をすることにより行うものとする。
一経営状況
二経営規模、技術的能力その他の前号に掲げる事項以外の客観的事項
3前項に定めるもののほか、経営事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定める。e-Gov法令検索より
公共工事とは?
公共工事とは、『公共性のある施設又は工作物に関する建設工事』であって、発注者が国や地方公共団体、あるいは特殊法人等となる工事のことを指します。
『公共性のある施設又は工作物』は、建設業法施行令15条において具体的に以下の様に定義されています。
(公共性のある施設又は工作物)
第十五条法第二十五条の十一第二号の公共性のある施設又は工作物で政令で定めるものは、次の各号に掲げるものとする。
一 鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道
二 消防施設、水防施設、学校又は国若しくは地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所若しくは試験所
三 電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設をいう。)又はガス事業用施設(ガス事業の用に供するガスの製造又は供給のための施設をいう。)
四 前各号に掲げるもののほか、紛争により当該施設又は工作物に関する工事の工期が遅延することその他適正な施工が妨げられることによつて公共の福祉に著しい障害を及ぼすおそれのある施設又は工作物で国土交通大臣が指定するものe-Gov法令検索より
入札参加資格
公共工事を直接請け負うためには経営事項審査を受けるだけでは足りません。
公共工事の発注先を決める方法は主に『競争入札』なので、建設業者にはその競争入札に参加するための『入札参加資格』も必要となります。
その資格を得るためには、発注者に対して入札参加資格申請を行わなくてはならず、その建設業者に資格を与えるか否かの審査は発注者が行います。
発注者は、『客観的事項』である経営事項審査の『総合評定値P』と、上記の『発注者別評価』の合計点から建設業者の格付けを行い、その格付けにより入札に参加出来る工事の規模が変わることになります。
国土交通省『経営事項審査の審査基準の改正について』より