罰則と監督処分
罰則
建設業に関連する法令はとても多いため、建設業者は建設業法だけでなくその他の関連する法令も遵守しなければなりません。
とはいえ、建設業の営業を規制する法律は建設業法だけですので、やはり真っ先に把握すべき法令は建設業法といえます。
この建設業法に違反した場合には『罰則』と『監督処分』という制裁が科せられることになります。
以下、罰則の事例です。
3年以下の懲役または300万円以下の罰金※ 法人に対しては1億円以下の罰金 | ・建設業許可を受けずに建設業を営んだ場合 ・特定建設業許可を受けずに元請業者となり、4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結した場合 ・営業停止中に営業した場合 ・営業禁止中に営業した場合 ・虚偽または不正の事実に基づいて許可を受けた場合 |
6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金※ | ・建設業許可申請書に虚偽の記載をして提出した場合 ・変更等の届出を提出しなかった場合 ・変更等の届出に虚偽の記載をして提出した場合 ・経営状況分析申請書または経営規模等評価申請書に虚偽の記載をして提出した場合 |
100万円以下の罰金 | ・工事現場に主任技術者または監理技術者を設置しなかった場合 ・土木一式工事または建築一式工事を施工する場合において、専門技術者の配置等を行わなかった場合 ・許可取消処分や営業停止処分を受けたにも関わらず、2週間以内に注文者に通知しなかった場合 ・登録経営状況分析機関から報告または資料の提出を求められ、報告または資料の提出をしなかった場合もしくは虚偽の報告または虚偽の資料の提出をした場合 ・許可行政庁から検査を求められ、検査を拒否、妨害、忌避した場合 |
10万円以下の過料 | ・廃業等の届出を怠った場合 ・調停の出頭要求に応じなかった場合 ・店舗や工事現場に建設業の許可票を掲げなかった場合 ・無許可業者が建設業者であると誤認される表示をした場合 ・帳簿を作成しなかった場合、虚偽の記載等をした場合 |
なお、建設業法違反により罰金以上の刑罰を受けると、建設業許可の欠格要件に該当することになり、許可を取り消されるだけでなく、その取消の日から5年間は建設業許可を取得することが出来なくなるので、十分注意する必要があります。
監督処分
建設業者が、建設業法により課せられた義務を履行しない場合や建設業法の規定に違反した場合には、刑罰とは別に許可行政庁による監督処分が科せられます。
以下、監督処分の種類です。
指示処分 | 建設業法に違反すると、指示処分の対象となります。法令違反を是正するために監督行政庁が行う命令です。 |
営業停止処分 | 指示処分に従わない場合、営業停止処分の対象となります。また、指示処分無しで直接営業停止処分が下されることもあります。1年以内の期間で監督行政庁が決定します。 |
許可取消処分 | 不正の手段で許可を受けたり、営業停止処分に違反して営業したりすると、許可取消処分の対象となります。情状が特に重いと判断された場合には、指示処分や営業停止処分無しで直接許可取消処分が下されることもあります。 |
なお、どのような監督処分を下すかは、不正行為等の内容・程度、社会的影響、情状等を総合的に勘案して判断されることになります。