人手不足と高齢化
人手不足
以下のデータをご覧下さい。
一般社団法人日本建設業連合会『建設業の現状』より
このように、建設業で働く人々の年齢層は55歳以上が全体の4割弱を占めており、これから先の10~20年あまりで大量の離職者が出ることが見込まれています。
半面、若年層の割合は非常に低く、また業界全体でみても就業者の数は下降の一途をたどっており、このままだと日本の建設労働者の数は著しく減少していくことが危惧されています。
建設投資額と労務単価の推移
以下のグラフは、建設投資額の推移を表しています。
国土交通省『令和5年度(2023年度) 建設投資見通し 概要』より
2004年度から2012年度までは減少傾向にありましたが、2014年度以降は右肩上がりに増加していき、2023年度には70兆円(資料発表時見通し)に達しました。
そして、以下のグラフは公共工事における労務単価の推移を表しています。
国土交通省『令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について』より
平成11年度以降、建設投資の減少に伴う労働需要の緩和によって労務単価は低落傾向にあり、平成24年度には13,072円にまで落ち込みました。
しかしその後、必要な法定福利費相当額の反映や、東日本大震災の入札不調を受けた被災3県における労務単価の引き上げ措置などが実施されたことにより、年々労務単価は上昇傾向にあります。
建設業の働き方改革
建設業界でも働き方改革(一億総活躍社会を目指す取り組み)が進められようとしています。
働き方改革では、
- 働き手を増やす
- 出生率を上げる
- 労働生産性を上げる
ことを目標としていますが、正社員の長時間労働といった建設業界における慢性的な問題をどう解決していくかが課題となっています。
そのため2024年4月から、罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されることとなりました。
具体的には、 上限規制の時間は月45時間、年360時間です。
臨時的な特別な事情がある場合でも、単月で100時間未満、複数月平均80時間以内、年720時間以内に収める必要があります(ただし、復旧・復興に関わる業務の場合については、単月で100時間未満、複数月平均80時間以内の条件は適用されません)。
この上限規制の適用により、働き方改革のより一層の推進が期待されますが、逆にこの上限規制が建設業者にとっては大きな負担となる可能性も考えられるため、まだまだ課題が残っているのが現状です。